2025.11.26
シニアマーケティング事例「パッケージだけでは伝わらない価値」をどう届ける?—永谷園×ハルメク雑誌広告と読者参加イベントの成功事例

「パッケージだけでは商品の良さが伝わらない」──。
シニア層をターゲットにしたマーケティングでは、商品の価値を正確に伝え、いかに“自分ごと”として捉えてもらえるかが成功の鍵となります。
とくに新しい使い方を提案する商品ほど、写真やコピーだけではその魅力を十分に理解してもらうことが難しいのが現実です。
こうしたシニアマーケティングの壁に、どう向き合えばよいのでしょうか。
今回は、(株)永谷園 マーケティング本部の池田綾さんにお話を伺い、永谷園とハルメクが取り組んだタイアッププロモーションの背景と成果を紐解きます。
目次
背景:想定外の主役はシニア女性──「レンジのススメ」が教えてくれた気づき
永谷園が2021年8月に発売した「レンジのススメ」シリーズは、コンロを使わず電子レンジだけで一品料理が完成する便利な商品。当初は共働き世帯や子育て世代をメインターゲットにしていました。
しかし発売からしばらくして、購入者データを分析すると、60代以上のシニア女性の購入比率が想定以上に高いことが判明しました。
この気づきを受けて永谷園は、シニア女性をメインターゲットに据えた新ブランド「本日の逸品」として2025年3月にリニューアル。シニア層の実需要に合わせたブランド再設計を行いました。
しかし、ここで新たな課題が浮かび上がります。
「シニア層は、コンロを使って調理するのが当たり前。電子レンジで本格的な料理ができると言われても、自分ごととして受け止めてもらいにくいのです」
便利さを訴求しても、「手抜き」と誤解される可能性がある──。
この“認識の壁”を越えるためには、単に商品の機能を伝えるだけではなく、読者が自分の生活に自然と置き換えられる文脈づくりが必要でした。
「ハルメクなら届く」永谷園が即決した理由

永谷園がシニアをターゲット層としてのリニューアルを決めた時に、そのプロモーションを依頼する先に迷わず選んだのがハルメク・エイジマーケティングでした。
「ハルメクへの依頼は即断でした」と永谷園の池田さんは振り返ります。その理由は大きく3つありました。
1、ターゲットリーチの確実性
ハルメクの読者層は60代以上の女性が中心。永谷園が狙う層と完全に一致しており、効率的な訴求が可能でした。
2、信頼を生む口コミ力
ハルメクの読者は「良いと思ったものを人に伝える力」が強く、誌面を超えて口コミが自然に広がる点が魅力でした。
3、 “ハルメクブランド”への信頼
「ハルメクに載っている商品=良いもの」という読者からの信頼感。信頼されているメディアとしてのブランド力で商品への信頼感を高める効果が期待できました。
さらに、永谷園が特に重視したのがハルメクならではの「じっくり読んでもらえる」という特性でした。 「商品の価値を深く理解してもらうには、パッケージやweb広告だけでは限界があります。ハルメクの読者はしっかりと記事を読み込んでくれる方が多いので、商品の魅力を丁寧に伝えられると期待していました」
読者インサイトと共通する「“手間抜き”でおいしく調理」を3号連続掲載で訴求
そこで永谷園とハルメクは、ハルメク読者の生活実態や共感軸に合わせた3号連続のタイアッププロモーションを展開。
各号でテーマを設け「レンジ調理」という新しい価値を浸透させていきました。
1号目:ブランドの認知

まずは「本日の逸品」というブランドそのものの認知を図るため、シリーズ全体のコンセプトや商品ラインナップを紹介。「大人の2人家族にぴったりな本格おかずの素」というポジショニングを明確に打ち出しました。
2号目:レンジ調理の自分ごと化

コンロ調理が当たり前の世代の方々に「電子レンジだけで本格的な1品が出来上がる」ということをリアルにイメージしていただくため、読者モニター「ハルトモ」メンバーが実際に調理する様子を大きく掲載。調理過程や手軽さを紙面で訴求しました。
「洗い物が減ってラク!」「レンジで作ったとは思えないおいしさ!」というモニターのリアルな感想も添えました。
この号では、応募ハガキを添付して、サンプリングキャンペーンも実施しました。
3号目:2人分にぴったり訴求(ご夫婦で登場)

ハルメク世代には「市販の惣菜のもとを使うと出来上がりが多すぎる」と感じられている方も多く、「2人前設計」も重要なアピールポイントとしていました。そのため実際にターゲット層であるご夫婦に商品を活用いただき実例を再現したものを掲載。
「手間を抜きたいときや、あと1品温かい料理が欲しいときにサッと作れて助かる」という主婦ならではの共感できる意見や、普段料理をしないという旦那さんでも「簡単なのに、おいしく作れて驚いた!」という、調理の簡単さが伝わるエピソードを紹介し、商品の利便性を実際の感想からお伝えしました。
全雑誌No.1!雑誌「ハルメク」媒体資料想定の5倍の応募、そして広がる共感の輪
2号目の掲載時に応募ハガキを添付したサンプリングキャンペーンには、想定の5倍を超える応募者数がありました。サンプルは、お友達などへのおすそ分けを期待して2メニュー×5個ずつを同梱。すると、読者の反応は驚くほどアクティブでした。
「知人に配ってくれるだけではなく、知人にアンケートをとってくれた方までいたんです。アンケートには書き切れないほどびっしりと記入されている方が多くて。 “配ってください”とお願いしても、実際にはなかなか動いてもらえないものですが、ハルメクの読者は違いました。」
読者モニターの反応は非常に濃く、「単なる試供ではなく、ブランド体験を共有する意識」を感じる結果となりました。
イベントで体感した、読者の熱量とブランドへの共感
サンプリング応募者の中から抽選で、永谷園本社に招待するイベントも開催。このイベントでは、読者の熱量がさらに明らかになりました。
「我々の試食会がハルメクイベントとしても初めての参加という方が多いと伺っていましたが、商品について話し始めると止まらない。1を聞くと10返ってくるような熱意で、現場が盛り上がりました」
このイベントには、商品企画のメンバーだけでなく営業や上長もヒアリングメンバーとして参加。これまでデータだけでは見えなかった“生活者のリアル” と、ハルメク読者の熱量を直接肌で感じることができたと高評価だったそうです。
「終了後に永谷園本社内の商品購入コーナーで、参加者のみなさんが、ものすごい勢いで商品を買っていかれたことにも驚きました。理解が深まることで、確実にファンになっていただけることを実感しました」
さらに、このイベントで新たな気づきもありました。
もともと「シニア2人の夕飯で、少し物足りないときのちょっとした一品」という使用シーンを想定していましたが、実際には想像以上に多様な使われ方をしていることが判明。次の広告展開にも生かされました。
ハルメク読者が教えてくれた、多様な使い方を誌面でも紹介
「本日の逸品」をどんなときに、どんな風に食べたのかを聞いたところ、朝の卵料理として『かに玉』をパンと一緒に食べたり、『麻婆茄子』をうどんにかけて食べたりなど、永谷園の開発者も驚きのアイデアがたくさんありました。
その他にも「晩酌の一品に、火を使わず作れて便利」「中華を作るときの洗い物の負担が少なくなっていい」など、この商品のよさを同年代の読者の実体験をもとに紹介することで、自分ごと化してもらうことを目指しました。

成果:生活者理解の深化とブランド資産の強化
誌面・サンプリング・イベントを通じて得られた消費者インサイトは、「なぜこの商品が選ばれるのか」「どんな生活文脈で使われているのか」を明確化。ブランドメッセージや販促施策の改善にもつながりました。
「読者が自分の暮らしに結びつけて考えてくれるようになり、購買行動につながっていると感じます」
雑誌に掲載されると、その直後から「どこで売っているのか」「この電話で購入できないのか」という具体的な購入意欲を持った連絡が次々と入ってくるとのこと。
「読者の行動の速さと購入意欲の高さは、他の媒体では経験したことがないレベル。だからこそ、この機会を最大限活かした施策を考えています」
ハルメクは、企業の想いを読者の言葉で伝えてくれる

また、ハルメクのイベントオペレーションについても高評価でした。
「ハルメクのイベント運営のオペレーションもとてもスムーズでした。参加者の話が長くなりそうな時も、うまくまとめて次に進めてくれる。さすがだなと思いました」
ハルメクとの取り組みは、単なる広告掲載を超え、"共創"によってデータだけでは得られない顧客理解という大きな収穫のある取り組みとなりました。
「ハルメクは、読者目線で提案してくれる点が素晴らしい。私たちはどうしても企業側の都合で考えてしまいがちですが、ハルメクは常に読者が何を求めているかという視点を大切にしてくれます」
シニア向け食品マーケティングで結果を出すなら、ハルメク・エイジマーケティング
ハルメク・エイジマーケティングは、シニア市場に精通した知見と、実際のユーザーの声を基にした「読み手に伝わる広告」づくりが強みです。雑誌や物販を通じて培ったノウハウを活かし、リアルなシニアの悩みやニーズに寄り添いながら、商品の本当の価値を伝える戦略を作成します。
3号連続掲載による段階的な理解促進、サンプリングキャンペーン、読者イベントなど、目的に応じた最適なアプローチ方法を提案。さらに、得られた消費者インサイトを次の戦略に繋げる改善提案も可能です。
シニア向けマーケティングでの成功を目指すなら、ハルメク・エイジマーケティングにご相談ください。
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