シニア就労の未来を拓く──世田谷区×ハルメクが仕掛けた“もう一度働きたい”を支える情報設計

人生100年時代を迎え、60歳を過ぎても「働きたい」と願うシニアが増えています。しかし、多くの自治体や企業では、その思いに応える仕組みや情報発信の手法が十分には確立されていないのではないでしょうか。そんな中、世田谷区は“伝わる支援”を目指し、シニアに特化した雑誌『ハルメク』と連携し、就労魅力発信冊子を制作しました。この記事では、その企画の背景・制作の工夫・成果までを詳しくご紹介します。シニア雇用に取り組むすべての方にとって、実践的なヒントとなる事例です。

目次

超高齢社会におけるシニアの就労意欲と課題

少子高齢社会の日本において、労働力の確保は大きな社会課題となっています。その中で注目されているのが「シニア就労」です。内閣府の「令和6年版高齢社会白書」によると、65歳以上の労働力人口が増加していることがわかります。


また、現在収入のある60歳以上のうち、高齢期になっても「働き続けたい」と答えた人は約9割に上り、高い就業意欲を持っている様子がうかがえます。一方で、再就職に対して不安や戸惑いを抱える人も少なくありません。

出典:内閣府「令和6年版高齢社会白書」


その背景には、次のような課題があります。

•    再就職後も仕事内容は同じでも、賃金は平均44%減

出典:パーソル総合研究所
•    年金だけでは生活が不安
•    社会とのつながりを失いたくないという心理的要因

こうした状況は、単に就労先の有無だけでなく、「適切な情報との出会い」や「心理的な後押し」が不足していることも一因であると考えられます。


世田谷区が直面する“シニア就労”へのジレンマ


東京都世田谷区では、シニア雇用に前向きな企業が多い一方、当事者である区民にその情報が十分に届いていないというミスマッチが生じていました。
実際、区が実施した「令和6年度 産業基礎調査」によれば、65歳以上の採用意向がある企業は、半数を超えています。理由としては、グラフからもわかる通り、優れたスキルを持っている、人手不足の解消に寄与すると考えている割合が高く、シニア人材の活用に前向きな姿勢が見受けられます。


出典:「令和6年度 世田谷区産業基礎調査」

一方で、区内にはシルバー人材センターや三茶おしごとカフェなど複数の機関がありますが、活用率は決して高くありません。つまり、“情報を届ける仕組み”の設計が課題のひとつだったのです。

ハルメクと取り組んだ働くシニアの魅力が伝わる冊子制作とは?


こうした背景から世田谷区は、冊子のターゲットを以下のような55歳以上の区民に設定し、プロポーザルを実施。提案企業の中から、ハルメクへ冊子制作を委託することに決めました。

冊子ターゲット
•    再就職に興味はあるが一歩踏み出せない
•    働きたいが、シニアの就労機関が分からない
•    就労に関心があるが、どこから情報を得たらいいのか分からない


ハルメクは、女性誌販売部数No.1(※1)の実績を持ち、シニア心理や行動に基づいた誌面構成、読みやすさへの配慮、共感を喚起するストーリーテリング力を活かし、「読まれる」冊子づくりを得意としています。


※日本ABC協会発行社レポート(2024年1月~6月)より

読者心理に寄り添う、編集の工夫


ハルメクは、以下の3つの編集戦略を提案しました。

1.「自分の未来が漫画に?」──共感から興味を引き付ける


冒頭に、同世代の人が再就職するまでの物語を漫画で掲載。読者に「これ、自分の話かも」と感じさせることで、心のハードルを下げました。

 2. 同年代の「毎日楽しく働いています」というリアルな声が後押しに


続くページでは、実際に働き始めた区民インタビューを紹介。「こんな仕事がある」「こんな気持ちで働いている」といった具体的な声が、読者に勇気を与えます。

3. “お楽しみ”ד地域性”で手に取ってもらえる冊子に


シニアに人気の“脳トレ”を誌面に取り入れ、「気軽に手に取れる冊子」に仕上げました。地域情報と掛け合わせたコンテンツで、楽しみながら情報に触れてもらう工夫を施しました。


また、視認性に配慮したレイアウト設計や、読みやすいフォント・色使いなど、すべての要素が「行動につながる」ことを目的に構成されています。


シニア向けのチラシ広告について、詳細に説明しておりますので、興味のある方はぜひこちらの記事もご覧ください。

配布後、即在庫切れ──その反響とは


完成した冊子は、区内の図書館などを中心に配布され、配布直後に在庫がなくなるほどの反響がありました。この結果からもわかる通り、「シニアの就労ニーズは潜在的に非常に高く、適切な情報設計と届け方があれば行動につながる」という仮説を裏付けています。

特に今回の冊子は、「興味はあるが行動に踏み出せない」層を明確にターゲティングし、共感を呼ぶ漫画や実体験インタビュー、“脳トレ”といった心理的ハードルを下げる工夫がなされており、このことが高い回収率・反響につながったと考えられます。
 
また、従来の行政的・形式的な就労機関情報では届かなかった層に対し、「自分ごと化」できるストーリーテリングや“楽しみ”を交えた発信が有効であるという新たな気付きも得られました。

まとめ──“もう一度働きたい”という思いの後押しがシニア就労を変える


少子高齢社会では、シニアの就労促進は社会全体の課題です。世田谷区の事例は、単なる支援情報の羅列ではなく、「どう届け、どう動かすか」にこだわることで、成果を上げた好例です。

同じ情報でも見せ方ひとつで、必要としている人に届けることできる。それを実証した取り組みでした。

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ハルメクグループでは、シニアに特化した圧倒的なリーチ力と調査力・編集・制作のノウハウを活かし、シニアマーケティングを成功に導くお手伝いをさせていただきます。

雑誌ハルメクはシニア女性誌 売上No.1(※)


読者は約40万人、信頼度の高い情報源として多くの支持を集めています。

年間1万人以上への独自調査を実施


消費傾向・価値観・行動心理まで、“今のシニア”を深く理解しています。

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共感を生む編集力・制作力


情報を「届ける」だけでなく、「伝わる」「動かす」コンテンツ設計に定評があります。

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※日本ABC協会発行社レポート(2024年1月~6月)より

この記事の監修者プロフィール

シニアマーケティングLAB事務局

シニアマーケティングラボ事務局

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