2022.05.17
シニアマーケティング事例【シニアマーケティング成功事例】「ポケモン GO」をシニア女性に販促!アプリで運動促進した事例
近年、ますます需要が増しているシニアマーケティング。シニア層向けに自社商材を販促しようと企画される企業も増えてきました。しかし、自社商材をどのような切り口で訴求すればシニアに響かせることができるのかわからないという企業も多いのが実態です。
そこで今回は、シニア向けの販促切り口を見いだしたマーケティング成功事例のひとつとして、あの人気ゲーム「ポケモン GO」をご紹介します。
目次
「ポケモン GO」をシニアに普及させる方法がないか探していた
年々拡大するシニア市場を取り込むことができれば、売上拡大やサービス利用者数増加などさまざまなメリットを得ることができます。そこで現在注目されているのが「シニアマーケティング」ですが、当然全ての商材がシニアをターゲットとして設定するのにふさわしいわけではありません。
仮にシニアに需要が見込める商材であったとしても、シニアが抱えているニーズ・課題とうまくマッチしたプロモーションを実施できなければ、その商材はシニアには受け入れられず販売拡大することはできないのです。
そこで重要なのが、自社商材が「本当にシニアをターゲットとして売れると見込めるのか」、プロモーションするとしたら「どのような切り口での訴求が響くのか」を明確にしてから施策を企画・実行することです。
特にシニアマーケティングの場合、商品導入の障壁となっているものが何かをあぶり出し、シニア向けのコミュニケーション手法を開発することで、シニア層への商品導入を進めることができます。
今回、シニアマーケティング成功事例として紹介させていただく「株式会社ポケモン」様も、位置情報を利用した人気ゲームアプリ「ポケモン GO」をどのような切り口で訴求すればシニアに普及・利用促進させることができるのか悩んでいらっしゃいました。
「ポケモン GO」とは
「ポケモン GO」公式サイトより
©2022 Niantic, Inc. ©2022 Pokémon. ©1995-2022 Nintendo/Creatures Inc. /GAME FREAK inc.
「ポケモンGO」とは、ポケモンブランドを管理する「株式会社ポケモン」様(東京)と米国のゲーム会社「ナイアンティック」様、「任天堂株式会社」様(京都)の3社が共同企画したスマートフォン向けゲームです。「街にいるポケモン(ゲームソフト『ポケットモンスター』のシリーズに登場する架空の生き物)を集める」という設定のもとスマホのカメラや位置情報機能、地図データを使い、さまざまな場所を実際に移動しながらポケモンを探します。見つけたポケモンはAR(拡張現実)技術によって目の前にある風景にモニターを通して映し出され、簡単な操作で捕獲できます。
2016年7月6日に欧米での配信が開始された「ポケモンGO」は瞬く間に世界中で人気を博し、日本でも社会現象といえるブームを起こしました。
配信当初は10~20代の若者を中心として人気を博していました。現在ではユーザー層に大きな変化が現れており、男女を問わず30~40代を中心に、60~70代といった高齢者層にまで人気が広がっています。そうしたユーザー特性から他の人気アプリと比較して50代以上のシニア層の利用割合が高くなっています。
当初若年層に広がりを見せた「ポケモンGO」がなぜ、シニアマーケティングの成功事例となったのか。「ポケモンGO」が実際にどのようなマーケティング施策でシニア層に訴求したのかをご紹介します。
どのようにして訴求方法を発見したのか?
「株式会社ポケモン」様とハルメクが共同で取り組んだこの事例では、1:「ポケモン GO」をシニアに普及させる前準備として「広告訴求ポイント」の発見と、2:新たな「コミュニケーション手法」の開発という2つの目的を基軸に施策を展開しました。
広告訴求ポイントの発見
はじめに、「商材の特性」とシニアがもつ「ニーズ・課題」がどのような形でマッチするか仮説を立てました。そうして導き出されたのが、シニアの健康志向×アプリの運動促進効果です。
具体的には、「ポケモン GO」がスマホの位置情報を利用して外で歩き回って遊ぶゲームであるという特性に着目し、健康に対する意識・関心が高いシニア層へ「遊びながら運動不足の解消にもなる」というメリットを訴求することで、利用促進が図れるのではと考えました。
この仮説をもとに、既に「ポケモン GO」を利用していたハルトモ(=雑誌「ハルメク」の読者モニター)と座談会を設定。座談会では、「ポケモン GO」の楽しみ方や利用理由、良いところなど、ラダリング法(商品のもつ特徴をターゲットのベネフィットに結び付ける定性調査の手法)を用いたインタビューを行い、シニアにおける「ポケモンGO」の価値構造分析を行いました。
その結果、「シニア層の健康ツール」という商品訴求ポイントを発見できたので、これを記事広告のクリエイティブに反映しました。
コミュニケーション手法の開発
シニア女性への商品導入障壁が何かを明らかにするため、定量調査・定性調査を行い、仮説検証・課題発見を行いました。
具体的には、まず「アンケート調査」と「座談会」を行って、得られた結果から商品導入障壁についての仮説立案を行いました。
この定量調査・定性調査をもとに、「ポケモン GO」の体験イベントを企画。アプリ未体験者を集めて「ポケモンGO」を体験利用しながら、新宿御苑を半日散策するシニア向けウォーキングイベントを実施しました。
こうして、実際の体験イベントを通して参加者に利用促進を行いつつ、利用者の生の意見を収集しました。
収集した「生の声」により、サービス利用に必要な”Googleアカウントの取得方法がわからない”という導入障壁があるというファインディングスを得ました。そこで、Googleアカウントの取得方法などスマホの基本的な使い方から解説した「スマホ初心者でもわかる!『ポケモン GO』入門ガイド」を制作し、シニア層の新規利用拡大に役立てました。また、収集した生の声を活かし、広告クリエイティブをさらに磨き上げた結果、掲載を重ねるごとに興味喚起につながり、広告の閲読率を2倍にすることができました。
マーケティング成功事例から学ぶ!シニアマーケティング成功の鍵とは?
以上の「ポケモンGO」におけるマーケティング成功事例のように、シニアマーケティングではさまざまな手段を通じて、自社商材をシニアに売り込むには「どのような訴求(切り口)があるのか」、「どのようなコミュニケーションが最適か」の2点を明確にすることが欠かせません。
もし、いきなり広告出稿などのマーケティング施策を展開したとしても前述の2点について確かな情報がなければ、広告のクリエイティブ・訴求方法を考えることも難しくなります。
そこで、「ポケモンGO」の成功事例をもとに、シニアマーケティングを失敗に陥れてしまわないための「シニアマーケティング成功の鍵」をご紹介します。
①仮説を設定する
まず、自社商品がシニアにどのように受け入れられるのか仮説を設定します。仮説の際にはシニアのペルソナを細かく設定することが重要です。
一口にシニアといっても、みなライフスタイルまで同じわけではありません。年齢や性別といったデモグラフィック情報だけでなく、ライフスタイル別にもセグメントすることが必要です。たとえば、ターゲットを「70代女性」とした場合、自宅でのんびり過ごしたい方もいれば外に出てアクティブに過ごしたい方もいらっしゃるなど、ライフスタイルは十人十色。ライフスタイルによって反応する商品やメッセージが異なります。そのため、マーケティングを成功させるためには、細かいペルソナ設計のもとに仮説立てを行いましょう。
②リサーチによって仮説を検証する
設定した仮説をもとにリサーチを行います。仮説を検証するために十分な定量的データ・定性的データを揃え、シニアのインサイトやライフスタイルを分析して切り口の発見へとつなげます。リサーチの際には設定した仮説から「シニアは○○だろう」という思い込みを押し付けないことが重要です。
また、シニアに対する質問を行う際には「はい」「いいえ」の回答にとらわれない「オープンクエスチョン」でリサーチを進めましょう。シニアの方はペルソナを細かく設定する必要があるように、人それぞれ趣味・嗜好が違います。
「はい」「いいえ」でしか回答できない質問ではこのような趣味・嗜好の違いに沿った的確な切り口が発見できません。
シニアマーケティングを成功に導くには、上記の成功の鍵はもちろんのこと、シニアがもつ属性やライフスタイルごとの「ニーズ・課題」に関する知識のほか、実際にシニアに対する調査企画やそれを実施するリソースとノウハウ、発見した訴求の切り口に対する的確なクリエイティブ制作能力など、これらが揃っていなくてはシニアマーケティングを成功に導くことは大変難しいのが現状です。
実際、多くの企業様が仮説検証の段階でつまずいてしまったり、調査企画・マーケティング施策実施やターゲットアプローチの段階におけるクリエイティブでつまずいてしまったりしています。
上記のようなリソースが不足している、ノウハウがないなどシニアマーケティングの専門的サポートが必要な場合は、弊社ハルメクまでお気軽にご相談ください。シニアマーケティングを専門領域とし、20年以上蓄積し続けているシニア / シニアマーケティングに関するデータ・ノウハウをフル活用して、貴社のシニアマーケティングを成功に導きます。
「ポケモンGO」のシニアマーケティング成功事例でもご紹介させていただきましたように、商品に合ったマーケティング支援が可能です。
この記事の監修者プロフィール
シニアマーケティングラボ事務局
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