シニア女性の幸福度はなぜ高い?──高齢社会白書×ハルメク調査に学ぶ“暮らしの質”と共感するマーケティング

「日本の幸福度は低い」と耳にすることが多いですが、50~80代のシニア女性に限ると、その実態は異なります。
彼女たちは日々の暮らしに高い満足感を抱き、安定した幸福感を保っているのです。
その背景には、経済的な豊かさだけでは語れない、「住まいの安心感」「社会での役割」「近所とのつながり」といった“暮らしの質”がありました。
本稿では、内閣府「令和7年版高齢社会白書」とハルメク調査のデータをもとに、シニア女性の幸福感を支える要素を詳しく読み解き、企業が共感を呼ぶマーケティングのヒントをお伝えします。
企業がこうした価値観や消費動向を理解することが、効果的なマーケティング企画につながります。

目次

シニア女性の幸福度の傾向と背景

国際的な調査では、日本全体の幸福度は先進国の中で低めにとどまっています。
しかし、ハルメクが実施した調査では、50~80代女性は自身の暮らしに比較的高い満足感を示し、年齢が上がるにつれて安定する傾向が見られます。
特に、60代以降では幸福感が大きく落ち込むことなく、むしろ穏やかで安定した日々を送っている様子が浮かび上がっています。
幸福度が高い理由は、決して経済的な余裕や社会的地位だけではありません。
「安心して暮らせる家がある」「誰かに必要とされる場がある」「身近に話せる人がいる」という日常の安心感や人とのつながりが心理的な充足感を支えているのです。
企業がシニアマーケティングを行う上では、この「暮らしの質」がいかに幸福感に寄与しているかを理解することが重要です。

シニア女性の価値観に根ざした「住まいの安心感」


高齢者白書によれば、65歳以上の約8割が持ち家に住んでいます。
これは単なる居住空間というだけでなく、長年の思い出や歴史が詰まった「心の拠り所」として機能しており、安定した住まいがあることは、老後の不安を和らげ、幸福感の重要な要素となっていることが示されています。

令和7年度 内閣府 高齢社会白書 住居グラフ

出典:「令和7年度 内閣府 高齢社会白書」

戦後の高度経済成長期、日本ではマイホーム志向が強まり、持ち家は「家族の証」であり「老後の備え」としての心理的価値も育まれてきました。
この文化的背景があるため、住まいの安定は老後の幸福感を大きく左右する要素となっています。
安定した住まいは、収入が減少した後も安心して暮らせる基盤となり、精神的な支えとしても機能します。

ハルメクの調査によれば、自宅の整理やリフォームを楽しむシニア女性も多く見られます。
マーケティングの観点では、住まいに関する広告や提案を行う際、「快適性」「安心感」「誇り」の3つの軸を意識することが重要です。
また、「今の家を長く快適に保ちたい」という思いはシニア女性に広く共通しており、たとえばバリアフリー化の提案は「安心感」を、庭やインテリアの提案は「誇り」を喚起することにつながります。
シニア女性の価値観を深く理解し、施策に落とし込むためのヒントをまとめたハルメクの2025年度版幸福度調査レポート」を是非、参考にしてみてください。


2025年度版幸福度調査レポート
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社会参加が高める自己肯定感と幸福度

高齢者白書の「社会活動と生きがい」によると、地域活動やボランティアに参加している人ほど、「生きがいを十分感じている」割合が高い傾向があります。
仕事をリタイアした後も、社会の中で役割を持つことで「誰かに必要とされている」と感じられることが幸福感につながるのです。

令和7年度 内閣府 高齢社会白書 社会貢献

出典:「令和7年度 内閣府 高齢社会白書」

社会活動に参加している人は、精神的にも身体的にも健康状態が良い傾向も確認されています。また、定期的に人と関わることで認知機能の低下防止にもつながるという研究結果もあります。
企業が社会参加を促進するようなイベントやコミュニティを提供したり、オンラインでの活動機会を設けることは、シニア女性の幸福感を高める一助になります。
マーケティング担当者は、単に「商品を売る」だけでなく、「参加の機会を提供する」視点を持つことが重要です。
また、このような施策は、企業イメージの向上にもつながるため、CSR活動の一環としても有効です。
マーケティング企画に役立つ最新の知見を集めた、ハルメク独自の「2025年度幸福度調査レポート」を参考にしてみてください。


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地域コミュニティとのつながりがもたらす幸福感

高齢者白書の「近所の人との付き合い方」によると、近所に気軽に話せる相手がいる人は、孤立感が少なく、幸福感も高い傾向があります。
長時間の深い付き合いでなくても、挨拶や立ち話程度のやり取りが心理的な安心感をもたらします。 

令和7年度 内閣府 高齢社会白書 住居グラフ

出典:「令和7年度 内閣府 高齢社会白書」

こうした「ゆるやかなつながり」が孤独を防ぎ、日常の安心感を育みます。
特に一人暮らしの高齢者にとっては、近所との関わりが生活の質に大きく影響します。
企業が提供する商品やサービスも、地域のつながりを生む仕組みやサポート機能を取り入れることで、シニア女性に寄り添う提案となります。
例えば、地域コミュニティと連携したアプリ、近所の人と気軽に交流できるイベントなどが考えられます。

シニア女性の価値観と消費動向に寄り添うマーケティングのポイント

シニア女性の幸福感は、経済的な豊かさだけでなく、「暮らしの質」に深く根ざしています。企業は、この価値観を理解することで、より共感される提案が可能になります。
以下の3ステップがポイントです

①背景理解

 住まいの安定・社会的な役割・つながりの重要性を社内で共有する。

②共感する提案設計

 商品やサービスが、安心感や自己肯定感につながる設計になっているか見直す。

③持続可能な関わり方

短期的な売上ではなく、長期的な信頼関係を築くマーケティングを目指す。
こうした視点で施策を考えることで、ブランドの信頼性も高まり、持続的なファンを獲得しやすくなります。


ハルメク独自の「2025年度版幸福度調査レポート」では、マーケティング企画に役立つ、具体的なヒントもご紹介しています。ぜひ参考にしてみてください。

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ハルメクの「シニアトレンドランキング」と実践的な取り組み

ハルメクは毎年「シニアトレンドランキング」を発表し、幸福感の背景や最新の価値観、キーワードを調査・分析しています。
幸福感の要素を踏まえたうえで、健康意識やデジタル活用といった新しい動きにも対応するヒントが詰まっています。シニア女性が求めるものや価値観の変化を捉えたい企業の方は、ぜひランキングをご活用ください

さらに、シニア女性の価値観や行動を深く理解するために、ハルメクが行っている
ユーザー共創型ワークショップ や、マーケティング分析手法も別の記事でご紹介しています。こうした実践的な取り組み、調査結果とあわせてぜひご参考にしてみてください。


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この記事の監修者プロフィール

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