雑誌「ハルメク」を成功に導いた「クラスタ分析」とは?シニアマーケティングに役立つ、その分析手法を解説

昨今、シニア市場が拡大する一方で、シニアマーケティングを成功させることは難しいといわれています。その要因として、シニアマーケティング施策の策定に必要な情報を取得・蓄積することの難しさ、シニアの多様性を捉えきれていないこと等が挙げられます。そこで今回は、女性誌部数 No.1を達成したハルメクがマーケティングに活かしている「クラスタ分析」についてご紹介します。

目次

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シニアマーケティングが「難しい」とされる理由

内閣府「令和 2 年版高齢社会白書」によると、2019年10月時点の高齢化率(日本の総人口に占める65歳以上人口の割合)は28.4%でした。社会の高齢化は今後も進み、2065年には高齢化率が38.4%になると推計されています。

 

高齢化の進行にともないシニア市場の拡大が予想される一方で、「シニアマーケティングは難しい」とも言われます。「シニアマーケティングが難しい」とされる要因の一例として、以下が挙げられます。

マーケティング施策の策定に必要なデータの不足

1つ目が、シニアマーケティング施策の策定に必要なデータが蓄積されていないことです。

 

有効なマーケティング施策を実施するためには、ターゲットのデモグラフィック情報だけでなく、考え方や価値観、消費性向などの情報が必要となります。

 

こうした情報は一般的に、EC の購入履歴やアプリや Web サイトでの行動履歴などを通じて取得・蓄積することが可能です。しかし、シニア層はデジタルツールの利用率、利用頻度が他世代に比較して低いため、デジタルを介した情報の取得・蓄積に限界があります。

 

また、シニア市場を把握しようとしても、急激なスピードで形成されてきた市場のため、長期でのデータ蓄積がなく、変化や変わらない価値などを把握することが難しい状況にあります。

市場分析の手法が定着していない

2つ目の要因は、シニアマーケティングを実施するための市場分析手法が確立・定着していないことです。

 

例えば、若年層のマーケティングに対しては、SNSを用いた口コミ分析を行うことでデモグラフィック情報以外にも興味・関心や趣味嗜好などを把握できます。しかしシニア層については、このような分析を行うことがまだまだ難しい状況にあります。

シニアをひと括りにしがちで固定概念から離れられない

さらに、シニアの多様化を捉えきれず、ターゲットである「シニア」をひと括りにまとめてしまったためにシニアマーケティングで十分な成果をあげられないケースも散見されます。

 

「シニア層」を65歳から100歳とした場合、年齢で35歳もの幅があり、年齢層によって育った環境やライフスタイル、健康面などは大きく異なります。そのため、シニアマーケティング施策を考える際は、「シニア」とひと括りにせず、各年齢層にあったターゲットを明確化することが重要となります。

雑誌「ハルメク」成功の背景には、「クラスタ分析」があった!

先述したように、シニアマーケティングには難しさがある中、アクティブシニア女性を主なターゲットとした雑誌「ハルメク」は、販売部数 46.5万部と女性誌部数 No.1を達成しています。

※ 日本ABC協会発行社レポート(2023年1月~6月)

 

「ハルメク」が成功した主な要因の1つが、「クラスタ分析」という分析手法を用いて、シニアの行動実態や価値観を7〜8種の価値観クラスタに分類したうえで、マーケティング施策を実施してきたことです。
ハルメクでは、それぞれのシニアをタイプ分けし、具体的なターゲット像を明確にしたうえで雑誌・商品・サービスの開発を行っています。このように、シニアをひと括りにせず、狙うべきターゲットのニーズや課題を浮き彫りにすることがシニアマーケティングを成功させる鍵といえます。
なお、ハルメクがクラスタ分析をマーケティングに活用できている背景には、全社をあげて、有効なクラスタ分析を行えるだけのデータやインサイトを日々蓄積し続けてきたことがあります。

ターゲット特性を把握するためのクラスタ分析とは

「クラスタ分析」とは、具体的にはどのような分析手法なのでしょうか?

クラスタ分析とは

クラスタ分析は顧客の分析やターゲット・ペルソナを設定する際に利用され、大きな集団から、任意の軸や項目をベースに近しいものをグループに分ける統計的分析手法です。クラスタ分析には「階層的手法」と「非階層的手法」の2つのアプローチがあります。

 

階層的手法は、母集団に含まれるデータの類似度を計算し、グルーピングする手法で、最終的なアウトプットは樹形図のような形状になるケースが一般的です。母集団の数やグルーピングに用いる変数の数が多すぎると、計算に時間がかかったり、計算ができなかったりするリスクがありますが、全体としてどのような分類があるかを把握しやすいというメリットがあります。

 

非階層的手法は、事前にいくつのクラスタに分けるかを決めたうえで、類似しているデータを近くに集め、逆に似ていないデータを遠ざける作業を繰り返し行う手法です。色々な視点から分類してみて、最も適切と考えられる分類を採用します。母集団のデータすべてを計算する必要がなく、計算量を抑えられるため、ビックデータの分析にも多く活用されています。

クラスタ分析を利用して可視化できること

クラスタ分析を行うことにより、各クラスタでどのような消費性向や行動傾向があるのか、どういった趣味嗜好があるのか、どのようなメッセージが好まれるかなどを把握することが容易になります。

 

クラスタへの理解が深まることで、自社の製品にあったクラスタや、ターゲットとしているクラスタに好印象を与えるブランディングやマーケティング施策も実施しやすくなります。

生きかた上手研究所ではターゲットクラスタ選定からインタビューまでワンストップで提供

生きかた上手研究所ではクラスタ判定⽤アンケートの企画・制作・実査、その後の多変量解析によるクラスタリング分析で⽣み出されたクラスタからターゲットクラスタ選定までワンストップで対応しています。

 

また、ターゲットクラスタを対象としたグループインタビューやオンラインインタビューなど様々なスタイルでのインタビューにも対応しており、ターゲットクラスタからさらに深いインサイトを得ることも可能です。

 

シニアマーケティング実施にあたり、ターゲットへの理解を深めるクラスタ分析を実施されたい方は、お気軽にご相談ください。

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この記事の監修者プロフィール

生きかた上手研究所

生きかた上手研究所

ハルメク生きかた上手研究所は、雑誌「ハルメク」の全月刊誌販売部数No.1達成(※)を支えた社内シンクタンクです。「ハルメク」から生まれた4,600人を超えるハルメクモニター(通称:ハルトモ)とのつながりを起点に、コンテンツ・商品・サービスの開発につなげています。

※日本ABC協会発行社レポート2023年7月~12月

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