2020.07.10
シニアマーケティングノウハウ顧客定着のための期待値を落とさないコミュニケーション
(株)ハルメク・エイジマーケティング 代表取締役の木船より、シニアマーケティングにまつわるお話をさせていただきまます。今回は「顧客定着のための期待値を落とさないコミュニケーションのための留意点」をお伝えします。
目次
シニアターゲットはやはりオフラインコミュニケーションが有効
今回はD2C分野について書きます。昨今はアクイジションからCRMまでほぼデジタルでカバーできるようになっていますが、シニアターゲットの場合、やはりオフラインコミュニケーションが有効であり、特に重要な初回接点に絞ってお伝えします。
シニア層は、健康で若々しくあり続けたいという気持ちから、健康美容器具等をよくご購入されます。メーカーはダイレクトリテールの販路で製品をお届けしますよね。
でも悲しいかな、販売前の情報は非常に豊富ですが、届いてからの情報提供が薄いことが多いようです。釣った魚にはなんとやら……の典型例ですね、、、
メーカーサイドとしては、機器の操作は極めて単純なので、説明書はPL法の説明責任を果たすだけで十分であるという感覚かもしれません。
ですが、これが購入後数カ月後に、使わなくなり放置され、メルカリなどのフリマサイトで出品される末路の元凶となっています。
実際のところ、こういったことを繰り返す顧客も多いとは思いますが、ブランド全体で長期的な顧客育成を考えた場合、購入商品の満足度は限界まで高める必要があります。
期待値と理解度の総和は、概ね初期における満足度
購入商品への“期待値”は、購入時点がMAXです。一方、商品への“理解度”は、体験がない分、この時点では高いとは言えません。期待値を下げず、理解度を上げる一番重要なコミュニケーションタイミングは商品到着時点です。ここで手立てを打たないと“後の祭り”です。
期待値と理解度の総和は、概ね初期における満足度と言って良いでしょう。因みに下図は“後の祭り”の一般例です。
解決のために単品通販の考え方や技法をスタディし展開するのが好ましいと言えます。
単品通販に多いコスメや健康食品は、反復継続利用を前提としたビジネスモデルですが、コスメや健康食品は短期で効果実感が出にくいため、一定期間は期待値で引っ張らないといけない面があります。
購入初期に顧客満足度調査をかけてみると商品の満足度は必ずしもお客様の明確な効果実感と比例しないことが見えてくることが多々あります。
「何となくいい」
「期待していないけど別の面で効果があるかも・・」
というように、雰囲気や、副次効果に注目してくれて継続してくれていることが多くあるのです。
初期の満足度(=期待値+理解度)を下げないための3つのポイント
では、単品通販における、初期の満足度(=期待値+理解度)を下げないためのポイントを3つお伝えします。
①課題を再認識してもらう。
②ゴール像を提示する。
③正しい使い方を十分に説明する
①課題を再認識してもらう。
まず、①課題を再認識してもらう。ですが、購入時に抱えている顧客自身の課題があります。
例えばダイエットグッズだとしたら、
「色んな製品を試したけど無理だった」
「ハードな運動はできない」
「糖質は気になるものの、大好きなビールはやめられない」
「肥満は万病のもと」
など、その商品を購入する、背景があります。これを再度呼び起こしてあげます。広告では行っていたはずですが、商品が届いたときに再訴求がないので、こうした課題を顧客は忘れがちになります。
商品同梱冊子などで一定のページ数を割いてでも、ここをしっかり再訴求しましょう。
このままいくと、あなたの課題は大きくなってしまうということをもう一度、きっちり伝えてください。
②ゴール像を提示する。
続いて、②ゴール像を提示する。ですが、この商品を利用することによるゴールをVOCなどを活用し伝えましょう。
3カ月、6カ月、12カ月など、ちょっと先の先輩ユーザーの成功例が励みになります。
初回接点においては、5年10年などの長期ユーザーのVOCではなく、浅めのユーザーのVOCの方が自分ゴト化しやすく良いでしょう。
③正しい使い方を十分に説明する。
最後に、③正しい使い方を十分に説明する。
ですが、ここはけっこうミソな点です。器具系の場合、この使用感が本当に正しいのか?に不安を持つ場合があります。
例えば、低周波治療器だとしたら刺激レベルの適正値は?筋トレ器具だったら負荷はどの程度か?
できるだけ丁寧に、言葉のニュアンスがわかるよう伝えてください。動画誘導でビジュアル説明も重要です。補足ですが、最近はアプリと連携できる器具も増えてきましたが、シニア層にはアプリ登録ができない方が非常に多いです。
ダウンロードの仕方から丁寧に説明するのが良いでしょう。ハルメクが手掛けたポケモンGOのガイドブックもアプリの使い方ではなく、ダウンロードの説明に冒頭かなりのページ数を割いています。
メーカーサイドが予想しないもっと手前でつまずいていることが多くあるので、一層の丁寧さが必要です。
さて、上記①②③を達成するためには、説明書とは別のスタートBOOK的な存在があるのが好ましいと言えます。
シニアの皆様の傾向として、紙は良く読んでくださいます。編集を工夫して、本当に自社商品を理解し使いこなしていただく工夫を行ってみてください。
■木船 信義(きふね しんぎ)
株式会社 ハルメク・エイジマーケティング 代表取締役
らでぃっしゅぼーや株式会社(現:オイシックス・ラ・大地)で11年間。マーケティング課長、経営企画課長を経験。
2014年、いきいき(現ハルメク)入社。 CRMマーケティング責任者、新規事業開発責任者を歴任。2018年4月に、シニア特化型マーケティングコンサルティング会社、株式会社ハルメク・エイジマーケティングを設立し代表取締役に就任。
株式会社ハルメク・エイジマーケティング
https://halmek-agemarketing.co.jp/
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この記事の監修者プロフィール
木船 信義
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