2025.10.31
シニアに関する調査【2025年調査】シニア世代と「ペット」の実態をレポート!市場拡大につながる戦略的アイデアとは

高齢化が進む日本において、シニア層とペットの関わりは、単なる癒しの存在を超えて、大きな市場機会を秘めた領域となっています。本記事では、50〜83歳女性を対象としたペット飼育に関する調査結果をもとに、プレシニア・シニア世代のペット飼育の実態を多角的に分析します。飼育状況、費用、価値観、困りごと、将来への不安など、マーケティングの戦略立案に活用できるデータをご紹介します。
〜調査概要〜
調査方法:Webアンケート
調査対象者:50〜83歳女性
調査エリア:全国
回収数:581サンプル(うち、犬猫いずれか飼育者95サンプル)
実査期間:2025年2月13日(木)〜2月17日(月)
調査主体:株式会社ハルメク・エイジマーケティング 生きかた上手研究所
目次
シニア世代ペット飼育の実態「犬猫に加え、魚の飼育にも注目」

今回の調査によると、50〜83歳女性で犬猫いずれかを飼育している割合は16.4%となりました。内訳を見ると、犬の飼育率は8.4%、猫の飼育率は8.6%と、ほぼ同等の水準です。
興味深いのは、魚(金魚・熱帯魚など)の飼育率です。年代別に見ると、以下のような明確な傾向が表れています。
- 50代 5.6%
- 60代 8.7%
- 70代 11.9%
年代が上がるにつれて上昇する傾向が顕著です。この背景には、魚の飼育が犬猫と比べてお世話の手軽さや経済的負担の軽さといった利点があることが推察されます。高齢になるにつれて体力面での懸念が増す中、比較的負担の少ないペットとして魚が選ばれている可能性が考えられます。
シニア世代のペット飼育にかかる費用「継続的な消費を伴う重要市場」

月あたりのペット飼育費用を見ると、犬にかかる平均費用は約21,000円、猫にかかる平均費用は約14,000円となっています。費用の内訳を詳しく見ると、次のような特徴があります。
ペットの食・フード
- 犬:6,700円
- 猫:7,312円
犬、猫で大きな差はありません。
ペットのお手入れ(シャンプー、カット、トリミングなど)
- 犬:4,785円
- 猫:380円
犬は猫の12倍以上の支出であることがわかります。
ペットの医療費(病院代、保険代など)
- 犬:6,251円
- 猫:3,158円
医療費に関しても、犬は猫の約2倍の支出となっています。
この調査結果から、ペット飼育には一定のお金がかけれられていることがわかります。特に犬の飼育者は、食事からお手入れ、医療まで幅広い分野で定期的な支出を行っており、シニア市場におけるペットビジネスの重要性が浮き彫りになっています。
プレシニア・シニア層のペットに対する思いや困りごと、ニーズを的確に把握し、月あたり2万円前後という継続的な支出へのインサイトを正しく理解することで、長期的な顧客関係を構築できる可能性があります。次では、そのニーズの核心部分である価値観や食事管理の実態について見ていきましょう。
ペットに対する価値観と食事管理の実態――犬と猫で異なる購買動機

シニア層のペットに対する価値観として、最も高かったのは「ペットが喜んでくれるとうれしい」で72.6%。次いで「食事には気を使っている」が67.4%と、ペットの幸福と健康への強い関心が表れています。
さらに、調査レポートで食事管理の実態を確認すると、犬猫ともに「年齢に合わせて食事を変えている」「人間の食べ物を与えないようにしている」といった基本的な飼育知識が広く浸透していることがわかります。
注目したいのは、犬と猫で食事管理の意識に明確な違いが見られる点です。
犬の飼育者の特徴
健康面を重視する傾向が強い
- 添加物を与えないようにしている
- 栄養バランスが偏らないようにしている
猫の飼育者の特徴
ペットの嗜好を優先する傾向
- ペットの好みに合う商品を選んでいる
ペットフードやペット用品のマーケティングにおいて、犬と猫それぞれの購買動機に応じた差別化戦略が必要です。犬向けには「無添加」「栄養バランス」などの健康訴求が効果的である一方、猫向けには「嗜好性」「おいしさ」といった訴求が有効と考えられます。
さらに詳しい「ペットに対する価値観(犬猫いずれか飼育者ベース)」および「ペットの食事に関する意識(犬猫いずれか飼育者ベース)」が掲載された資料をぜひ参考にしてください。
ペットに関する困りごとと不安「日常と将来の二層構造」

シニア層がペット飼育において抱える困りごとを見ると、「長期間の外出・旅行ができない」が犬で55.1%、猫で62.0%と突出して高い結果となりました。旅行好きなシニア層にとって、ペット飼育が行動の制約となっている実態が明確に表れています。次いで「抜け毛」が犬で32.7%、猫で28.0%と共通の悩みとなっています。
犬と猫で特徴的な困りごとも見られます。犬では「吠える、鳴く」(26.5%)、「病気・ケガ」(22.4%)、「臭い」(20.4%)が上位に入りました。一方、猫では「部屋が傷つく」(28.0%)が特徴的な困りごととなっており、室内飼育における物理的な課題が浮かび上がっています。
続いて、ペットと暮らすことにおいて不安に感じている点も見ていきましょう。

ペットとの暮らしに関する不安内容を見ると、より将来的な視点での懸念が明らかになります。「ペットの病気やけが」が56.8%と最も高く、「災害が起きたときの対応や世話」が52.6%、「ペットがいなくなったときのペットロス」が48.4%と続きます。さらに「ペットがいなくなったときの気力低下」(44.2%)、「自身の健康悪化により、世話ができなくなること」(26.3%)といった、シニア層特有の不安も一定の割合で存在しています。
日常的な困りごとと将来的な不安という二層構造が存在することが、この調査から読み取れます。前者は現在進行形の課題であり、後者はシニア層のライフステージに特有の懸念といえるでしょう。
日常の困りごとに対しては、ペットシッターサービスや一時預かりサービスなど、シニア層が気軽に外出や旅行を楽しめるサポート体制の整備が求められます。また、消臭・清掃関連商品、ペット対応リフォームなど、住環境改善サービスへの潜在需要も大きいと思われます。
将来的な不安に対しては、緊急時のサポート体制、ペット保険の充実、そしてペットロスに対するグリーフケアなど、心理面でのサポートサービス開発の余地があると考えられます。シニア層の抱える多様な不安に寄り添うサービス設計が、市場開拓の鍵となるでしょう。
ペットとの暮らしに関する将来の考え「終活とペットの融合ニーズ」

ペットとの暮らしに関する将来の考えを見ると、シニア層特有のライフステージにおけるニーズが顕在化しています。
最も高かったのは「自分が世話をできなくなった時、誰かにペットの世話を引き継げるようにしたい」で38.9%でした。自身の健康状態や介護の必要性を見据えた、現実的な備えへの関心が表れています。
また、「ペットと一緒のお墓に入りたい」は22.1%、「ペットと一緒に入居できる高齢者住宅に入りたい」という声もあり、終活とペットを結びつけた関わり方を望む声が一定数存在することがわかります。これらのデータは、ペットを単なる愛玩動物ではなく、人生の最期まで共に歩むパートナーとして位置づけるシニア層の価値観を示していると推察されます。
ペット信託サービスや、飼い主に万が一のことがあった際の引き取り保証制度など、ペットの将来を保証するサービスには需要があると考えられます。また、ペットとの合同供養サービスや、ペット可の老人ホーム・高齢者住宅など、終活ビジネスとペット関連ビジネスを融合させた新商品・サービス開発のチャンスが存在します。
これらのニーズは、シニア層のライフステージ特有のものであり、一般的なペット関連サービスでは捉えきれない領域です。シニア市場に特化したサービス設計が求められます。
ペットのいるシニア層の他のニーズや詳細データについては、資料をダウンロードしてご確認ください。
ペットを飼っていない層から見えるビジネスチャンス「潜在需要の開拓」

現在犬や猫を飼っていない層にも、一定の飼育意向が存在します。「犬を飼いたい」は17.9%、「猫を飼いたい」は10.7%という結果でした。年代別に見ると、50代の犬猫飼育意向割合は上の年代に比べて高く、犬を飼いたい人が25.8%、猫を飼いたい人が18.0%となっています。

一方で、犬や猫を飼っていない理由を見ると、最も高かったのは「旅行や外出がしづらくなるから」で43.4%でした。次いで「毎日の世話が大変だから」が38.5%と、日常的な負担への懸念が上位を占めています。
興味深いのは、年代による心理的障壁の違いです。50代では「別れがつらいから」が43.8%と特に高く、ペットロスへの懸念が飼育を躊躇させる大きな要因となっています。一方、70代以上では「最後まで自分が面倒をみれないかもしれないから」が42.3%と高く、自身の寿命や健康状態への不安が表れています。
この調査結果から、飼育意向を持ちながらもさまざまな理由で踏み出せない潜在層が一定数存在することがわかります。
潜在層を顕在化させるためには、単にペットの魅力を伝えるだけでなく、プレシニア・シニア層が抱える具体的な不安に寄り添い、解決策を提示することが重要です。
犬や猫を飼っていない理由の詳細データについては、資料をダウンロードしてご確認ください。
まとめ|シニアペット市場の可能性と戦略的アプローチ
本調査から、シニア層のペット飼育に関する多様な実態と、そこから見えるビジネスチャンスが明らかになりました。
シニア層がペット市場において重要な顧客層である理由は明確です。 月あたり犬で約21,000円、猫で約14,000円という継続的な支出を行い、質を重視した商品選択をする傾向があります。また、ペットの健康や将来への不安を抱えており、それらに応える具体的なサービス・商品開発のチャンスが豊富に存在します。
特に注目すべきは、終活ビジネスとペット関連ビジネスの融合可能性です。「ペット信託」「合同供養」「ペット可老人ホーム」「緊急時サポート」など、シニア層のライフステージに特化したサービスは、今後ますます需要が高まると予想されます。
本記事で紹介したデータは調査結果の一部です。より詳細な数値データや年代別の傾向、その他のペット飼育に関する意識については、ぜひ「ペットに関する意識と実態分析レポート」をダウンロードしてご活用ください。
シニアペット市場への理解を深め、貴社のマーケティング戦略にお役立ていただければ幸いです。
掲載している調査内容に関するご質問、掲載や取材の希望については下記までお問い合わせください。
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生きかた上手研究所
ハルメク生きかた上手研究所は、雑誌「ハルメク」の全月刊誌販売部数No.1達成(※)を支えた社内シンクタンクです。「ハルメク」から生まれた4,900人を超えるハルメクモニター(通称:ハルトモ)とのつながりを起点に、コンテンツ・商品・サービスの開発につなげています。
※日本ABC協会発行社レポート2024年1月~6月
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