「シルバー」は何歳から?定義は?「シニア」とは何が違うのか?詳しく解説

世間には「シルバーパス」や「シニア割引」などといわれるシニア向けの様々なサービス がありますが、そもそも「シルバー」とは、何歳からを指す言葉でしょうか?本記事では「シルバー」、「シニア」、「高齢者」は何歳からか、公的資料や実例をもとに違いを整理します。

目次

「シルバー」は何歳から?言葉の由来は?

「シルバー」は、60代以降の人々を指す言葉として、現在多く使われています。 しかし、「シルバー」とは何歳以上であるといった、明確な定義はなく、制度やサービスによって対象となる年齢は異なります。辞書での定義、実際の制度やサービスにおける使われ方、さらに日本で「シルバー」という言葉が定着した背景や過去の用例を順に見ていきましょう。

「シルバー」の辞書定義

辞書定義では、デジタル大辞泉ではシルバーを「多く複合語の形で用い、高齢者の、高齢者のための、の意を表す。」としています。
出典:デジタル大辞泉


辞書では、「シルバー」は「高齢者」という言葉とほとんど同じ意味の言葉として捉えていると考えられます。

制度やサービス における「シルバー」の定義

では、実際のサービスではシルバーとは何歳からのことを指しているでしょうか。
全国シルバーセンター事業協会のWebサイトでは、シルバー人材センター入会の条件として原則60歳以上の方としています。一方、東京都のシルバーパスは70歳以上からなっており、「シルバー」という言葉の定義は自治体や団体によって異なっているのが現状です。

出典:公益社団法人 全国シルバー人材センター協会 / 東京都シルバーパスのご案内

「シルバー」という言葉が定着した由来と使用例

日本では、高齢者を指す言葉として「シルバー」が広く使われています。由来には諸説ありますが、よく知られているのは、1973年の敬老の日に国鉄が優先席に灰色の布を用い「シルバーシート」と名付けたことにちなむという説です。ただし、それ以前から高齢者を指す文脈で「シルバー」が使われた例もあり、正確な起源は特定できていません。いずれにせよ、1980年代には現在のように「シルバー」は高齢者を指す語として定着していた、と考えられます。


1986年には通信産業省(現在の経済産業省)が「シルバーコロンビア計画」という海外居住支援事業を提唱し、「シルバー」という言葉を定年退職した人を指す意味で使用しています。この計画は、定年を迎えた人向けに『第二の人生を海外で』というもので、民間主導で海外に日本人居住地を整備するといった内容でした。しかし国内外から批判の声が上がり、最終的に計画は頓挫しました。

海外ではフランスが2013年、高齢化社会における経済活性化を掲げた「シルバーエコノミー・ロードマップ」を公表しています。高齢者とその家族を対象とする産業を「シルバーエコノミー」と位置づけ、消費行動やニーズに応えることで経済成長につなげる方針です。この流れは、高齢者の課題をテクノロジーで解決する「AgeTech(エイジテック)」の推進にもつながっています。

また中国でも、政府は2024年に『シルバーエコノミーの発展と高齢者福祉の増進に関する意見』を公表し、高齢化への対応と経済成長の両立を掲げました。

ハルメク・グループでは、シルバーと呼ばれる高齢者に特化した「シニア領域特化型コンサルティングサービス」を提供しています。
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「シルバー」と「シニア」、「高齢者」との違い

一方で「シルバー」と同じく60代以上の人々を指す言葉として「シニア」や「高齢者」といった言葉が挙げられますが、これらの言葉に違いはあるのでしょうか?「シルバー」と似たような文脈で使用される「シニア」「高齢者」という言葉について、 違いを探っていきます。

「シニア」、「高齢者」の定義

シニアは英語の「senior」をカタカナ語にしたもので、「senior」は上級・上位・年上といった意味を持っています。日本では「シニア割」など、高齢者を指す意味で多く使われていますが、明確な定義はありません。

一方で「高齢者」という言葉に関しては、WHO(世界保健機関)では65歳以上、内閣府の高齢社会白書では65歳以上を前期高齢者、75歳以上を後期高齢者と定義しています。一方で日本老年学会では65歳から74歳を准高齢者、75歳から89歳を高齢者、90歳以上を超高齢者 と定義することを提言しています。
出典:令和7年版 高齢社会白書
   高齢者の定義と区分に関する、日本老年学会・日本老年医学会 高齢者に関す る定義検討ワーキンググルー プからの提言(概要)

また、ハルメクグループで、50~88 歳の女性 584名を対象にWebアンケートで実施した「敬老の日に関する意識・実態調査2024」によると、シニア、高齢者のイメージは平均72.7歳となっており、各団体の定義と人々が抱くイメージとではそれほど大きな違いはないことがわかります。

Google検索から読み解く各ワードの違い

ここまで、各団体の定義や調査結果などから、年齢の捉え方を整理してきました。では、人々は実際にこれらの言葉をどう受け止めているのでしょうか。

Googleが「シルバー」「シニア」「高齢者」の違いをどのように認識しているのか、「検索」という掛け合わせワードでかつ、ゲストモード(閲覧履歴などを反映しない状態)で検索した結果、以下の通りとなりました。(2025年9月時点)

「シルバー × 検索」

「シルバー 検索」の検索結果では、シルバー人材センターのサイトが上位に表示されています。「定年後」というワードも含まれていることから、Googleはそういった人々をシルバーと認識して可能性があります。

「シニア × 検索」

「シニア 検索」の検索結果では、シルバー人材センターではなく、中途採用サイトが上位に表示され、かつ年齢層も幅広くなっています。

「高齢者 × 検索」

一方で「高齢者 検索」で検索すると、高齢者向けのスマホの使い方や、介護事業所の検索ページ、老人ホームの紹介などのサイトが見られました。

このようにGoogleの検索結果を比較すると、「シルバー」や「シニア」という言葉にはシルバー人材センターや、求人サイトなどまだ働くことのできるような比較的活発な人々というイメージを持っているのではないかと推測できます。一方で「高齢者」という言葉には介護サービスや老人ホームなど、助けが必要な高齢な人々という違いがありそうだと言えそうです。  

「シルバー」、「シニア」、「高齢者」の違い(実感値ベース)

明確な定義ではありませんが、実感値として以下のような印象・違いがありそうです。

  年齢目安 先程の検索結果より 連想するイメージ
シルバー 60代/70代以上 シルバー人材センターの求人など リタイア後も元気で、健康維持や社会へのつながりを求めている人々
シニア 50代/60代以上 フルタイム求人の情報収集 新しいことに意欲的な、まだまだ現役世代モードの人々
高齢者 年齢目安なし スマホの使い方、介護サービス、見守りサービスなど 介護や見守りなど助けが必要な人々

「シルバー」「シニア」「高齢者」世代の方々をより深く理解するには?

ここまで「シルバー」「シニア」「高齢者」という言葉についてそれぞれ捉え方や、使われ方を整理しました。しかし、年齢が高い人々を「何歳か?」で決めつけて、一括りにして考えるというのはやや強引な気もします。ここでは、これらの人々をより深く理解するための切り口を紹介します。

生まれた年代によって考える

「シルバー」や「シニア」、「高齢者」といっても生まれた年代によって育った時代の背景やライフステージごとに直面する課題は変わってきます。生まれた年代ごとの世代の名称の例となります。  

世代名 生まれた年
団塊の世代 1947年~1949年ごろ
しらけ世代 1950年~1960年代半ばごろ
新人類世代 1961年~1970年ごろ
バブル世代 1965年~1970年ごろ

60歳以上でも世代ごとにこのように分けられており、世代ごとに特徴や考え方、志向性が変わってきます。その中でも団塊世代の特徴についてはこちらの記事でまとめられているので、是非読んで見てください。

価値観で分けて考える

50代以上女性を主なターゲットとした雑誌「ハルメク」は、販売部数 46.7万部と女性誌部数No.1です。

※ 日本ABC協会発行社レポート(2024年7月~12月)

 「ハルメク」が成功した主な要因の1つが、「クラスター分析」という分析手法を用いて、「シルバー」、「シニア」、「高齢者」と呼ばれる人々の行動実態や価値観を7〜8種の価値観クラスターに分類したうえで、マーケティング施策を実施してきた点にあります。

ハルメクでは、価値観クラスタに基づいてタイプ分けし、具体的なターゲット像を明確にしたうえで雑誌・商品・サービスの開発を行っています。「クラスター分析」について詳しくはこの記事をご参考ください。

まとめ 

「シルバー」という言葉には明確な定義はなく、1970年代ごろから日本で広く使われるようになりました。「シルバー」「シニア」「高齢者」といった言葉は似たような文脈で利用されることが多いですが、それぞれの言葉によって、人々が抱く印象は異なります。この世代をより深く理解するには、生まれた年代や価値観といった背景で分けて考えることが大切です。

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この記事の監修者プロフィール

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