2025.10.10
シニアマーケティングノウハウシニアとは何歳からを指す?定義や使われ方の実態を検証
「シニアとは何歳からか?」
60代でしょうか、それとも70代からでしょうか?かつて年齢が高い人を指し示すには「お年寄り」や「高齢者」が一般的でしたが、現在ではそういった人たちをくくる言葉として、「シニア」が多く使われています。
年齢が高い人たち向け、ということが一目でわかる「シニア」ですが、実際の現場では何歳くらいをイメージして使っているのか、様々な角度から調べてみました。
目次
シニアとは
団体や企業によって独自の定義づけがなされており、それぞれの設定には少しずつ違いがみられます。
世界保健機関(WHO)では、65歳以上を高齢者としています。
わが国の「高齢者の医療の確保に関する法律」では、65歳から74歳までを「前期高齢者」、75歳以上を「後期高齢者」としており、公的年金(老齢基礎年金)は原則として65歳から受給できることから、「高齢者」は65歳以上であると捉えられていることがわかります。
一方、日本老年学会が2017年に発行した「高齢者および高齢社会に関する検討ワーキンググループ報告書」では、高齢者の定義を「65歳以上」から「75歳以上」とし、65 〜 74歳を「准高齢者」、90歳以上を「超高齢者」と呼称すべきと提言しています。
最新の調査報告書「高齢者および高齢社会に関する検討ワーキンググループ報告書2024」
の調査では、「自分自身を高齢者と感じているか」という質問において、70 〜 75歳を境に高齢者と感じる割合が大きく増加していることから、「意識上でも高齢者は75歳以上」という結果を裏付けています。
ちなみに、ハルメクグループで調査した「敬老の日に関する意識・実態調査2024」でも、「シニア・高齢者」は何歳以上を指すかを平均すると72.7歳となっており、現実的にはそのくらいの年齢から「シニア・高齢者」ととらえるのがよさそうです。
【調査概要】
調査方法:WEBアンケート
調査対象・有効回答者数:50~88歳の全国のハルトモ(ハルメクのモニター組織)の女性・584名
調査実施日:2024年7月26日(金)~7月29日(月)
調査主体:株式会社ハルメク・エイジマーケティング ハルメク 生きかた上手研究所
シニアの語源
ところで、高齢者という意味で使われる「シニア」という言葉は英語の“senior”という単語からきています。“senior”という単語には複数の意味があり、一つ目は、「高いランクや地位をもつ」という意味。会社におけるシニアマネージャーなどに使われます。
二つ目は、「年長の」という意味。高校のことをシニア・ハイスクールと呼び、中学校のことをジュニア・ハイスクールと呼びます。
一方、英単語の“senior”単体では、高い地位や年長という意味だけで、特定の年齢層を意味しません。
日本で使われる「シニア」と近い意味で使われるのが、“senior citizen”。米国やイギリスなどでよく使われる表現で、法律や制度では多くの場合 65歳以上を指します。ポジティブな言葉ですが、丁寧なニュアンスを含んでいます。一方、日本語の「シニア」は、サービス名などマーケティングのシーンでよく目にすることが多いかと思います。
シニア向け割引制度が日本で使われはじめたのは?
シニア世代に向けた割引制度は、「シニア」という言葉の浸透に先駆けて発足しています。国土交通省によると、1973年(昭和48年)に70歳以上を対象とした、高齢者割引制度が都営交通局「無料乗車券」として導入されました。1974年には「東京都敬老乗車証」制度が開始され、1979年「東京都老人パス」に名称が変更し、1980年には「東京都シルバーパス」に名称が変更しています。このように日本におけるシニア向け割引制度は「敬老」や「老人」といった言葉とともに始まっています。
出典:東京都シルバーパス関連調査報告書
シニアという言葉が日本で使われはじめたのは?
それでは「シニア」という言葉は、いつごろから日本で浸透したのでしょうか。
調べると、2000年代初頭、夫婦50割という割引サービスで、夫婦どちらかが50歳以上なら映画料金が一人1000円になるというサービスが始まり、それが成功を収めてからだと言われています。
そして、2005年頃に福岡県の興行生活衛生同業組合で高齢者向けに行った「無料映画招待券」には「シニアご招待券」という記載があることから、この頃にはすでに「シニア=高齢者」という認知が一定程度広まっていた、と考えられます。
現在のシニア割と対象年齢
現在では「老人」や「高齢者」に代わり「シニア」という言葉で業界問わず様々な企業がシニア割を展開しています。例えばドコモは、2017年1月27日「はじめてスマホ割」に60歳以上の方を対象とした「シニア特割」を新設しました。
現在展開されているシニア割例
事業者 | 適用年齢 | サービス内容 |
ウエルシア薬局 | 60歳以上 | シニアズデー(毎月15日・16日)WAON POINTが3倍付与される |
イオン(WAON) | 55歳以上 | G.G感謝デー(毎月15日) G.G WAON・ゆうゆうワオンでのお支払いで5%割引 |
牛角 | 65歳以上 | コースやランチ食べ放題などで500円引き |
TOHOシネマズ | 60歳以上 | シニア割引 入場料1,300円 |
東京国立博物館 | 満70歳以上 | 常設展 無料 |
JAL | 65歳以上 | 当日シニア割引 搭乗日0時から予約可能な割引運賃 |
※2025年10月弊社調べ
このように様々な形で各社が「シニア割」を展開していますが、対象年齢には若干の差異があることがわかります。
「シニア」に対する固定概念と具体的なギャップ例
シニア割の対象者が50代~70代であるのに対し、その対象年齢にあたる当事者には感覚的にズレがあることもわかってきました。
ハルメクグループで50~88歳の女性584名を対象にWebアンケートで実施した「敬老の日に関する意識・実態調査2024」によると、敬老の日を祝われる対象年齢イメージの平均は 73.7 歳であるのに対し、初めて敬老の日を祝われた年齢の平均は 63.1 歳となり、当事者の感覚と周囲にズレが生じています。
「お祝いされたくない(お祝いされたくない+あまりお祝いされたくない+どちらともいえない)」理由としては、以下の理由が高くなっています。
- 祝われる年齢ではないと思うから
- 老人扱いされているように感じるから
- 敬老の日を祝う習慣がないから
敬老の日のように、高齢者を敬い感謝を伝える前向きな日であっても、不快感を与える可能性もあるということです。
今どきシニアの方々は、自分を「シニア」と自覚している人は少なく、年齢に縛られずに自分らしさを保ちながら、年を重ねています。ハルメクグループでは、この世代の身体や生活に合った無理のないスタイルを大切にしつつ、新しい知識やツールを取り入れて人生を豊かにしようという価値観に目を向けて、様々なコミュニケーションを実施しています。
現役世代が考える「シニア」の具体的なギャップ例
「シニア」と聞くと、デジタル機器には疎く、健康維持のための運動もウォーキング程度にとどまり、体力も衰えが目立つのではないか。そんな固定的なイメージを抱く現役世代は少なくありません。ところが、最新の調査データが示す実態は、この思い込みとは大きく異なります。
まずデジタル分野に目を向けると、2024年時点でシニア女性のスマートフォン利用率は98.9%に達し、もはやスマホは日常生活の前提となっており、70代の利用率は、若い世代に追いつき始めています。
最新の調査内容については、以下で解説しております。
ダウンロードのうえ、貴社ビジネスにお役立てください。
次に健康面はどうでしょうか。フィットネスや運動関連サービスへの支出において、60代から70代の世代は合計額の三割以上を占め、50代よりも高い割合を示しています。
運動の種類を比較しても、70代は筋力トレーニングやジョギング、水泳といった有酸素運動の実施割合が他の年代に比べて高く、さらにストレッチや体操では、年代が上がるほど一回にかける時間は減少するどころか長くなる傾向があります。ここでも加齢に伴って運動習慣が後退するという固定観念とのギャップが見られます。
こちらの調査については、以下資料にて詳しく解説しておりますので、ぜひご参考ください。
まとめ
シニアは何歳からかについては、現状明確な年齢定義はありません。シニアと呼ばれる年代の人も、自分はまだシニアではないと考えていることも多いと考えられます。ビジネスにおいて、シニアをターゲットとするならば、シニアの実態を年齢やイメージでとらえるのではなく、きちんと調べてターゲット像を明確にすることが重要です。
多様化するシニア市場の可能性を最大化したいとお考えなら、ぜひハルメクの知見をご活用ください。資料ダウンロードやご相談をお待ちしております。
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シニアマーケティングラボ事務局
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