【2025年調査】高齢者の移動手段と自動車免許返納の実態を大公開!

高齢者の運転をめぐる状況は、いま大きな転換点を迎えています。
「運転頻度が減ってきた」「返納を考える人が増えた」——こうした変化の背景やタイミングは、地域や年代によって大きく異なると考えられます。
そのため、どの層がいつ動くのかを把握することが、今後の事業機会をつかむ鍵になるでしょう。

行政も移動支援を重点政策に掲げ、データを基点にしたサービス設計が求められています。
本記事では、2025年最新調査で得られたハルメク独自データから、シニアの移動実態をわかりやすくご紹介します。


〜調査概要〜
調査方法:Webアンケート
抽出方法:ハルトモ(ハルメクのモニター組織)
調査対象者:50〜87歳女性
調査エリア:全国
回収数:577サンプル
実査期間:2025年4月11日(金)〜4月14日(月)
調査主体:株式会社ハルメク・エイジマーケティング 生きかた上手研究所
その他備考:調査結果のパーセンテージは小数点以下第2位を四捨五入したため、​ 総数と内訳の合計が一致しないことがあります​



目次

今「高齢者の移動」が市場性の高いテーマとなっている理由 

高齢者の移動をめぐる状況は、この数年で大きく変わりつつあり、運転者の高齢化に伴って高齢者の事故が注目され、免許返納や運転卒業をめぐる議論は一気に進みました。



一方で、免許を返納した人の多くが「買い物や通院がしづらい」「外出頻度が下がった」と感じていると考えられ、移動手段の確保が課題として浮き彫りになっています。


こうした状況を受け、政府は2016年の総理指示以降、地域公共交通の再構築や移動支援の強化を重点政策として掲げてきました。さらに2024~2025年にかけて制度整理やガイドラインの整備が進み、自治体と民間が連携しやすい環境が整いつつあります。



その結果、デマンド交通や移動支援サービス、小型モビリティ、運転アシスト機能など、高齢者の移動を支える商品・サービスが拡大しやすい土壌が形成されてきました。



高齢社会の進展と行政支援の両方を背景に、「高齢者の移動」は今、多くの企業にとって新たな事業機会が生まれる注目領域になっていると考えられます。

高齢者の移動手段の現状 

普段の外出先までの移動手段

高齢者の移動手段は、「どこに住んでいるか」によって大きく異なるようです。自家用車を運転して外出する人は一定割合いるものの、その比率は都市部よりも地方で圧倒的に高く、一都三県と地方では「クルマ依存度」に明確な差が見られます。 

  

都市部では徒歩・自転車・電車・バスといった選択肢が揃っている一方、地方では公共交通の本数が少なく、車以外での移動が現実的に難しい地域も少なくありません。 

そのため、高齢者の移動手段は地域特性と密接に結びついており、移動課題の内容も「どこに住むか」で大きく変わってくると考えられます。 

  

これらの傾向は、最新のホワイトペーパーでより具体的なデータとして整理しています。 ホワイトペーパーダウンロード版でご確認ください。 

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車でどこに行く?生活動線から見える高齢者の移動ニーズ

自家用車で出かける先
運転している&自家用車で出かけることがある人ベース

高齢者が車で向かう外出先をみると、日々の生活を支える移動と、楽しみや交流を目的にした移動の「二層構造」がはっきり表れていることが分かります。

  

最も多いのは 「スーパー・小売店」 への買い物。続いて 「病院」 が上位に入り、生活に欠かせない移動が中心です。一方で、「外食」 の割合も高く、特に70代以上では 「外食」「スポーツジム・体育館」 といった、社交や楽しみを目的とした外出も目立ちます。 

  

こうした傾向は、地域の車依存度が高いエリアほどさらに顕著です。日常生活を維持するための移動に加え、健康づくり・交流・娯楽など、「前向きな外出」のニーズも車が支えている実態が見て取れます。

高齢ドライバーの自己評価と危険認識ギャップ

車に対する意識・価値観(TOP2割合)

高齢ドライバーをめぐる特徴のひとつとして、「周囲の危険認識」と「本人の自己評価」が異なる傾向が見られます。

調査では、年齢が低い層ほど「高齢者の運転は危険だ」と感じている一方、高年齢層になるほどその危険意識が低くなるという傾向が明確に表れています。 

  

さらに、都市部と地方では意識差も対照的です。都市部では返納を前向きにとらえる人が多いのに対し、地方では「生活に必要」という理由で、運転を続けたいという意向が強く残る傾向がありました。

  

つまり、「危ないのでは」と考える周囲の視点と、「まだ運転できる」と感じる本人の認識のズレが、移動支援や代替手段を考える上で課題となっているようです。

運転免許の保有状況から見える“運転しない高齢者”の実態と移動支援ニーズ

運転免許保有状況/運転頻度

高齢者の運転免許の保有状況をみると、77%が免許を保有しており、依然として多くの人が“運転できる状態”にあります。ただし、実際にはおよそ36%がペーパードライバーで、一都三県ではその割合が 46% とさらに高く、都市部では「持ってはいるが運転しない」層が多いのが特徴です。 

  

一方、すでに免許を返納したと回答した人は約9%70代以上ではその割合が 21%にのぼり、年齢が上がるほど返納が現実的な選択肢となっているようです。 

免許返納に踏み切った層は、自分で運転しないことを明確に決めた分、日常の買い物や通院など「移動が途切れることへの不安」が強く、生活維持のために代替サービスの必要性が高まると考えられます。一方で、免許は保有しているものの運転を控えている層は、「運転すれば行ける」という状況を残しつつも、実際には運転を避けている層であると思われます。 

  

ともに移動手段の補完ニーズが高く、サービス導入への心理的ハードルが低い潜在顧客といえるでしょう。

どんな属性が返納を考え始めているか?返納意識の実態

今後の運転意向 / 運転免許返納意向 運転免許保有者ベース

免許返納を検討し始める層には、2つの特徴があるようです。

  

1つ目は「運転しているかどうか」が返納意向を大きく左右する点です。 

現在運転を続けている層では返納意向が低い一方、すでに運転を控えている層では、運転層に比べて返納への意向を持つ人の割合が著しく高くなっています。

  

2つ目は、居住地域と年代によって検討時期に差が出る点です。
都市部(一都三県)では、公共交通の選択肢が多いため、比較的早い段階から返納を検討し始める傾向があるのに対し、地方地域では車が生活必需品であるため、運転継続意向が強いと考えられ、返納の検討時期が遅れる傾向が見られます。 

詳しくは、後述の表にてご説明します。

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なぜ返納するのか?事故ニュースだけではない決断の要因

運転免許返納をする理由/返納した理由
免許返納の意思あり / 返納済みの人ベース

返納を考えるきっかけとして、最も多く挙げられるのが「ニュースなどで見聞きする高齢ドライバーの事故」という理由です。高齢ドライバーの事故が報じられるたびに、「自分もいつか…」という恐怖が一気に高まり、トリガーとして非常に強く働くと考えられます。 

  

しかし、実際に返納へ踏み切る背景には、ニュースだけでは説明しきれない複合的な要因もあるようです。

  

具体的には、生活構造の変化(自分で運転する必要がなくなってきた、代替移動手段がある)、身体的な変化(運転すると疲れるようになってきた、認知能力の低下、視力の低下)などが挙げられます。 

  

いつまで運転したいのか?年齢・地域別で予測される市場の二極化

運転継続予定年齢運転している人ベース

運転継続の意向には中心となるラインがあるものの、実際には高い年齢層でも「できる限り運転を続けたい」と考える人が一定数存在します。背景には、運転が生活の自由度や自立性を支えるという認識が根強いことが考えられます。 

  

ただし、この意向は地域によって大きく異なります。都市部では、公共交通の利便性が高く、車を持たなくても日常生活が成立しやすいため、運転の継続予定年齢は全体的に低めです。一方、地方では車が主要な移動手段であり、買い物・通院・社会参加の多くを車が支えているため、運転の継続予定年齢は高い傾向が続くようです。

  こうした流れから、今後は「運転を安全に長く続けたい派」と「早めに返納して車以外へ移行する派」という二極化が進むと予測されます。前者の層に対しては、先進安全機能やドライバー見守り技術など、安全運転支援分野のニーズが拡大する余地があると想定されます。

  

一方で、都市部を中心とした早期に返納を予定している層には、返納後の移動サービスや生活サポートといった「アフター返納市場」が、今後大きく成長していくのではないでしょうか。

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免許返納後はどう移動している?生活を支える代替手段の実態

車を保有しなくなった、もしくは運転免許返納した後の移動手段
免許返納の意思ありベース

免許を返納予定のシニア女性は、日常の移動をどのようにカバーしようとしているのでしょうか。 

調査では、返納後によく使われる移動手段がはっきりと表れています。
詳細は、ホワイトペーパーをご覧ください。

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まとめ

車への依存度、免許返納の意向、そして返納を考える理由は、地域や年代などの要素によって大きく異なります。

そのため、移動支援サービス、運転支援機能、交通インフラを効果的に設計するには、これらの要素を分解し、実際の行動データに基づいて分析することが不可欠です。 

  

この記事で紹介したのは、調査結果のごく一部です。 さらに詳しいデータは ホワイトペーパーで公開しています。自動車・交通インフラ・移動支援サービス・運転アシスト機能関連ビジネスにおけるシニアのインサイト把握やマーケティング戦略にぜひお役立てください。

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この記事の監修者プロフィール

生きかた上手研究所

生きかた上手研究所

ハルメク生きかた上手研究所は、雑誌「ハルメク」の全月刊誌販売部数No.1達成(※)を支えた社内シンクタンクです。「ハルメク」から生まれた4,900人を超えるハルメクモニター(通称:ハルトモ)とのつながりを起点に、コンテンツ・商品・サービスの開発につなげています。

※日本ABC協会発行社レポート2024年1月~6月

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