2025.01.29
シニアに関する調査シニアのデジタル利用実態はここまで変化!SNSから通販・ポイ活まで最新調査
デジタル化が加速する中で、プレシニアやシニア層のデジタルデバイスやサービスの利用実態はどのように変化しているのでしょうか。今では、さまざまなデジタルサービスがシニア層の生活に浸透しつつあります。スマートフォンの保有率から、ネットショッピングの利用率、SNSの利用傾向など、今回の調査では多角的な視点から、最新のデジタル利用実態が明らかになりました。
本記事では、シニアの前段階の世代として55歳〜64歳をプレシニアと定義し、65歳以上をシニアとしています。また、「アクティブシニア」とは、 健康で活動的な生活を送り、仕事や趣味に意欲的で、新しいことへの挑戦意欲が高いシニア層を指します。
デジタルデバイスやサービスの利用は、もはやプレシニア・シニア層にとっても日常生活の一部となっています。その実態を把握することは、効果的なマーケティング戦略を立案する上で重要なヒントを与えてくれるでしょう。ぜひ「最新!ハルメク独自リサーチ デジタルデバイス調査2024分析レポート」をご活用ください。
〜調査概要〜
調査方法:郵送での質問紙配布アンケート
調査対象者:55~74歳のハルメク読者の女性
調査エリア:全国
分析対象者数:2024年は436名
※2011年から毎年実施、回答者数はそれぞれ異なる
実施期間:2024年6月11日(火)〜8月5日(月))
※過去調査の実施時期については各年5~9月の期間内に実施(2017年度のみ11月~翌年1月の間に実施)
調査主体:株式会社ハルメク・エイジマーケティング 生きかた上手研究所
目次
【デバイス別・利用率推移】プレシニア・シニア女性のスマホ保有率は98.9%!
デジタルデバイス調査2024分析レポートの結果から、プレシニア・シニア女性のスマートフォン利用率が98.9%に達し、ほとんどの人がスマートフォンを使用していることが明らかになりました。また、タブレット端末の利用率は前年比6.7ポイント増の24.1%、スマートウォッチは同2.9ポイント増の6.9%と、大きな伸びを示しています。
スマートフォンが生活必需品となる中で、用途に応じて複数のデバイスを使い分けるニーズが生まれていると考えられます。タブレット端末については、スマートフォンより大きい画面を活かした動画視聴やオンラインショッピングなど、より快適なユーザー体験を提供できる新たなタッチポイントとしての可能性が広がっていると推察されます。
年代別のスマートフォン利用率の推移や、各デジタルサービスの活用状況など、世代ごとの特徴をより詳しく見ていくと、さらに興味深い傾向が浮かび上がってきます。特筆すべきは、70代のスマートフォン利用率が、他の世代に追いつきつつある点です。シニア層のデジタル活用は、確実に進化を遂げているようです。詳細はレポートでもご確認いただけます。
プレシニア・シニア層におけるスマートウォッチの利用率は?
スマートウォッチの利用率は全年齢層で上昇傾向にあります。特に60~64歳の利用率は、前年比2.6ポイント増加し、8.3%となりました。
増加要因のひとつとして、歩数や心拍数、血圧、睡眠時間などのデータを記録できる健康管理機能への関心の高まりがあると考えられます。特に60~64歳では利用率が上昇しており、健康意識の高さが反映されている可能性があります。
また、現在の50代や60代はデジタル機器への抵抗感が少ない世代となりつつあることも、新しいデバイスの受容度が高まっている要因と推察されます。
腕時計という馴染み深いアイテムにもデジタル化の波が押し寄せ、プレシニア・シニア層の中には、スマートウォッチをファッションアイテムとして楽しむ人も増えてきているのかもしれません。使いやすさと付加価値を兼ね備えたデジタルツールであれば、プレシニア・シニア層の生活にも自然に溶け込んでいく可能性が高いと考えられます。
マルチデバイス時代到来!?スマホ+◯◯派が主流に
デバイスの利用状況を見ると、「パソコン+スマートフォン」の組み合わせで使用する層が最も多くなっています。「スマートフォンのみ」の利用者は昨年から引き続き減少する一方、「パソコン+スマートフォン(その他機器含む)」の利用者は微増しています。また、「スマートフォン+タブレット」の利用者も10.1%存在しています。
過去10年を振り返ると、2016年頃から「パソコン+スマートフォン(その他機器含む)」といったマルチデバイス利用者が増加傾向にあることがわかります。このことから、プレシニア、シニア層においてもマルチデバイス時代が到来していると考えられ、クロスデバイスでのマーケティング戦略の重要性が高まっていると推察されます。
各デバイスの組み合わせパターンによる推移はこちらからダウンロードしてご覧ください。
なぜ50代女性はiPhoneを選ぶのか?年齢層別スマートフォン機種選択の傾向とは
スマートフォンの機種選択において、50代では特徴的な傾向が見られます。全体の合計ではAndroid端末の利用者が多いものの、55〜59歳層ではiPhone利用者がAndroid利用者を12.2ポイント上回っています。
この背景には、2010年頃に登場したスマートフォンが普及し始めた2015〜2016年、 当時40代だった女性たちがiPhoneの品質とブランド価値に魅力を感じて購入し、そのまま使い続けていることが考えられます。また、子や孫世代にiPhoneユーザーが多いことも、機種選択に影響を与えているかもしれません。一方で、年齢が上がるにつれて、操作性を重視した「らくらくホン」のような使いやすい機種を求める人が増えてくると推察できます。
注目したい「ネットショッピング利用動向の二極化」
ネットショッピングの利用率を年代別に見ると、興味深い傾向が浮かび上がってきます。55〜59歳、60〜64歳では利用率が上昇している一方、65〜69歳、70〜74歳では低下傾向にあります。
新型コロナウイルスの影響などで全年代的にネットショッピングの利用が伸びましたが、2024年では年代による二極化が顕著になっています。
プレシニア世代では、SNSでの商品との出会いからネットショッピングへと移行したり、YouTubeで見つけたファッションや生活雑貨、インテリア用品などをインターネットで購入したりするといった、デジタルを活用した購買行動が定着しつつあると考えられます。
70代以降の層では、実際に店舗に行き店員とやり取りをしながら買い物をする人や、通販雑誌や同封チラシなどの紙媒体からの購入も依然として多いと考えられます。70代にはアクティブな層も多く、購買意欲も高い傾向にあるため 、デジタルと従来型の販促手法を組み合わせたアプローチが効果的かもしれません。たとえば、カタログやチラシでの商品訴求とデジタル注文の併用や、実店舗での体験とオンラインでの購入など、顧客接点を複数用意することで、購買機会の創出につながる可能性があります。
プレシニア・シニア層「TikTok」利用率は9.6% 他のSNS利用率もチェック!
SNS(LINE除く)の全体利用率は2.3ポイント減の29.6%となりました。しかし、個別のSNSの利用率を見ると、Pinterest以外のプラットフォームでは微増傾向にあり、TikTokの利用率は9.6%に達しています。
注目すべき点は、利用者の行動パターンです。どのSNSにおいても「閲覧のみ」の利用者が多い傾向にあります。
ただし、Facebookで投稿している割合は19.1%、X、Instagramでも一定数の投稿者は存在しています。
SNSが情報収集の手段として活用されている傾向が強いことから、ターゲット層の興味・関心に沿った情報発信や、実用的な知識の提供など、さまざまなアプローチが考えられます。また、「閲覧」が中心の利用実態を踏まえると、商品やサービスの活用シーンを自然な形で紹介するなど、コンテンツの見せ方にも工夫の余地がありそうです。
プレシニア・シニア層のSNS活用スタイルは、それぞれの生活に合わせて多様化していくのではないでしょうか。
日常に溶け込むポイ活新時代「遊び」と「お得」の新発想
ポイント活用(いわゆる「ポイ活」)をしている人の割合は、43.3%です。2020年と比べると約2倍になっており、ポイ活をしている人の割合は上昇傾向を示しています。
ポイ活の形態も、多様化が進んでいます。従来型の「お金を使ってポイントを貯める」 に加え、「くじをひく」や「スタンプを貯める」といった、遊び要素を取り入れたポイント獲得方法の利用が増加傾向にあります。これらの詳細なデータは、デジタルデバイス調査2024分析レポートに載っています。
デジタル決済の普及により、ポイント獲得の機会が日常生活に自然に組み込まれやすくなってきていると考えられます。また、スマートフォンの高い普及率により、ポイント管理アプリの利用ハードルも下がってきていると推察されます。
くじ引きやスタンプ収集などのゲーミフィケーション(ゲーム的な要素の導入)は、継続的な利用を促進する効果が期待できます。特にシニア層の活用促進には、ポイントの獲得から利用までの流れをシンプルに設計することが重要になってくると考えられます。たとえば、「お買い物でポイントを貯めて、くじを引いて、当たったポイントですぐに次の買い物ができる」といった、わかりやすい仕組みづくりが効果的かもしれません。複雑な条件や手順が多いと利用をためらう可能性があるため、シンプルで直感的な設計がポイントとなりそうです。
まとめ
今回の調査から、プレシニア・シニア層のデジタルデバイスやサービスの利用実態が変化していることが明らかになりました。
シニアはデジタルに疎いと思われがちですが、今回の調査結果ではその先入観を見事に打ち砕いています。スマートフォンの保持率は実に98.9%。今やスマートフォンは、暮らしに寄り添う心強いパートナーとなりました。プレシニア・シニア世代は、検索やSNSを楽しみ、ネットショッピングで賢く買い物、ポイントアプリも上手に活用しています。時代の変化を柔軟に受け入れ、自分らしく便利に使いこなす姿は、世代を超えて私たちに新しい学びを与えてくれます。生成AIという新しい可能性も、きっとシニア層の暮らしに溶け込み、さらに豊かなデジタル時代を築いていくように思えます。今後ますますシニア層のデジタルデバイス調査の結果が注目されますね。
より詳細なデータや分析結果は、「デジタルデバイス調査2024分析レポート」をダウンロードしてご確認ください。プレシニアやシニア層へのデジタルマーケティング戦略立案に、きっとお役立ていただけるはずです。
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